編集部だより
仮想展示会とボータルサイト
2000.2.5 門田 浩
どうもこのコラムの担当は私になってしまったようですが、もはや2月ですね。 最近はDog Yearなどと言わなくとも、私には年齢が高くなるに従い時間の経過が速く感じられます。 皆さんはいかがでしょうか。
世の中を見ると、Y2K第一陣が終わったら今度はクラッカー騒ぎ。これは相当深刻なようです。実害はHP書き換え程度でしたが、その可能性は政府の連中を震撼させたようです。(そう言えば、あの現代の神話的クラッカー、ケビン・ミトニックが出獄しましたね。どっかのコンピュータ会社に就職しハッカーになりたいとか)これで政府のお偉方も単にセキュリティ対策の会議のみならず、一層の実情報投資の必要性を感じたことでしょう。
ただ、ひも付きはいやなものですね。某省庁の補正予算をもらいさる開発をした経験から申せば、相変わらず費用の裏づけは工数納入のポイントはドキュメントの厚さでした。紐なしの補助金はありますが、なにやら怖いものがありそうです。さて、今回のテーマ、ボータルサイトです。
「それPortalの間違いじゃないの」と去る人から言われ、まだ理解はそんなもんかい、と思っていましたが、最近「Vortal、ボータル」とあちこちで騒ぎ始めました。水平の次は垂直なのです。現在のPortalサイトは基本的には取り扱いカテゴリ拡大のためなんでもかんでもいれちまえ、の発想です。一方、ボータルは実用的専門性を満たすため、その分野において一貫したサービス情報を提供する仕組みです。そうです、Vertical Portalです。私は、常々「モノつくりは水平に、サービスは垂直に」と言っておりましたが、まさにこれじゃ、と納得しています。これは流行りのSolutionとも符合することです。time to marketが叫ばれる一方で、実際の開発には複雑なあるいは長いプロセスを経ないと最終製品、機能実現にたどり着くことができない昨今、これを最適なスタイルで導く意味でsolutionなのです。そしてこれを情報面で支援するのがボータルサイトです。
構造は見かけ上Yahooのカテゴリー別directoryと似たものがあります。商品を売る場合は最終商品そのものを品種展開し幅広くそろえることが最大のサービスですので、そのdirectoryは同種の商店街となります。一方、システムにせよ個々の製品にせよ、ものを作ることに関してはその分野毎に様々なプロセス(工程)があり、同種の商店を集めただけでは解決になりません。そこで、その関連情報を一気にアクセスできるのがボータルサイトというわけです。付帯サービスとして、取引機能、一般情報提供機能、ちょっとしたお楽しみなどがありますが、これは正に展示会、こと組込み関して言えば私がお手伝いしている組込みの展示会、MSTと同じ目的と構造なのです。
MSTは組込み機器開発のためのソフトウェア開発寄りのリアルなVortal展示会です。デバイス、ミドルウェア、ツール、インテグレーションと、開発工程の中でお金がかかる部分によりよい解決策を提供するリアルな情報提供の場です。リアルな展示会の強みは実際にものを見て触って聞いてわかることです。一方、展示のためには膨大な費用も労力もかかりますし、なんと言っても展示期間が限定されます。商品の旬と展示会期は必ずしも同じではありません。
そこで出てきたのが仮想(バーチャル)展示会です。もちろんWeb上での展示会です。MSTで扱うような技術、製品を365日、皆さんの目の届くところに展示するのです。仮想展示会のメリットは展示費用があまりかからず、いつでも出展可能で、製品の入れ替えも自由、毎日展示可能なところです。しかも最近はダウンロードサービスが定着し、設計情報を含め、ソフトウェア製品であれば、「手にとって触れる」のです。
一方、弱点はもちろんハードの実態がないこと、毎日展示可能と言っても「お手入れ」が肝心なこと、いまだインターネットなどを使うリテラシを持たない人々も少なからずいること、などです。一般商品取引は、食料品、雑貨、CD、書籍は言うに及ばず、個人のオークションまで普及し始めています。産業界の仕組みはどうかと言うと、組込み世界はともかく、企業各社個々の調達、ロゼッタネットに代表される企業間共同調達、金融取引、設計情報交換等など、すでに流れは確実になっています。ただ、仮想の世界での取引は基本的には情報上の取引であり、実取引はその結果として動くのです。お金のように実態までがほとんど情報のようになっているものもありますが、多くは物流を必要とする取引です。しかし、ポイントはまず「情報ありき」なのです。SPEEDとよりよきSolutionを提供するために、また逆に得るために、ボータルサイトは今後盛んになるものと確信します。
この動きを先取りし、先日組み込み業界の有志が集まり、仮想展示会「組み込みネット」を創設しました。有志がまず会費を仮負担し、そのお金をもって仕組みを開発しました。個人レベルから大企業まで、低価格の会費制で運用する非営利サイトです。私は会長就任を要請され、これをお受けしました。ほとんどの企業が年間数万円未満の会費で利用できるメリットを認めたからです。
このサイトの意味はそれだけに留まらず、個人業者の方々に大きなメリットがあると考えています。個人レベルではなかなか広告を打ったり、自社サイトを開設運営するのは面倒なものです。これを代行してくれる展示会機能があれば利用しないてはありません。ぜひ個人業者の皆さんも自らの得意技を展示してください。
EISと組込みネットの関係は、相補関係になってゆくでしょう。組込みネットでは商品展示を、EISでは人と技術の流れをお見せできれば、と考える次第です。