>>>>週刊ニューヨークフォト通信(5) <ナム・ジュン・パイク>
 
 
   10日ほど前からゲストが泊まりに来ている。フランスに住んでいる二人の女性で、一人は日本人、一人は韓国人である。
  彼女たちの共通語はフランス 語である。韓国人の彼女は日本語ができず、日本人の我々は韓国語ができない。 そんなこんなでアジア人4人が集まって、日本語、英語、フランス語、韓国語 の4カ国語チャンポンで会話している。
  偶然、フランス語と韓国語は昨年夫婦で 勉強を始めていたのだが、いまではすっかり忘れてしまっていて、挨拶言葉程度 しか覚えていないのだが、それでも言葉を交わせるというのは楽しい。
 
 

彼女たちのニューヨーク訪問には、はっきりとした目的がある。「ナム・ジュン ・パイク」と言う名前の韓国人のビデオ・アーティストの特別展が、グッゲン ハイムという美術館で開催されていて、それをお目当てに来たのである。

  彼は 韓国人と言っても1965年頃からニューヨークの Mercer ストリート(そう、 先週号のフォト通信<カフェ>で出てきましたね)に住んでいて、すっかりニューヨークのアーティスト、と言った感がある。

  彼は、テレビを素材として、ちょっと変わった作品を作り上げてしまう。たとえば、テレビをいくつもくっつけて、ロボットのような形にしてしまう。顔も、 手も、腕も、体も、腰も、足も、すべてテレビでできている。写真だとよく わからないが、実物には電源が入れられ、それぞれのブラウン管に不思議な 映像が渦巻く。実は、彼の年齢を聞いてびっくりした。68歳である。テレビという、一見醜悪な(失礼)電気の箱を芸術にしたその感性は、来るべき (そして本当に来てしまった)電気仕掛けの社会を先取りしていたのであろうか。

  アンディ・ウォーホルはコマーシャルな映像を芸術にしてしまったが、 ナム・ジュン・パイクは映像の入れ物を芸術にしてしまった。 ちなみに、今回のグッゲンハイムでの特別展は、2000年になって始めての 特別展を飾るものとして、栄誉あるものらしい。韓国生まれのこのアーティ ストは、それほどこのニューヨークで評価されている。私も期せずして、 フランスから来た彼女たちに教えられたこのアーティストに、とてものめり込んでしまった。

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  ということで、今回の映像は特別展一階に展示されている「床に転がった たくさんのテレビ」です。映像がめまぐるしく変わり、またその上空には (写っていませんが)レーザー・ビームによる光のアートが描かれています。

  この展覧会は4月26日まで開催されているとのこと。NYにこられる方は ぜひ。




 
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