画廊:小林豊の世界


 小林豊氏の作品に接すると、氏の対象に対する愛情がどれほど深いものであるかがひしひしと伝わってくる。
 アフガニスタンの荒涼とした風景が画題として採用されていてさえ、そこに生活する人間の豊かな精神生活がしっとりと描かれている。

 10回以上もかの地を訪れたことのある私でさえ、アフガニスタンの自然と人間が緊張をはらみつつかくも調和して生活していたのかとあらためて驚かされた。恐らく、対象に対する愛情という点において私は小林氏に遠く及ばないのであろう。

 さらには、日本画の技法を使いながらリアルに対象に迫ろうとする氏の姿勢が作品にそのような力を与えているのかもしれない。

 今を生きるアフガニスタンの人と自然の美しさと力強さをこのように描いた作品を私はほかに知らない。日本人だけでなく、平和を取り戻そうと苦闘しているアフガニスタンの人びとにぜひ見てもらいたい作品である。

  野口 壽一


絵をクリックして下さい。より大きく表示されます。

ヘラート城趾  騎士  紺屋横町 

午餐  チャイハナ(茶店) 

行き交う人々  子供の領分 

一日(いちじつ)  タシクルガン・バザール  裏道 

春のイスタリフの丘

小林豊(こばやし・ゆたか)

1946年東京深川に生まれる。
立教大学社会学部卒業。イギリス留学中に、画家を志す。
1979年日展初出品で入選。
1983年「上野の森美術館」特別優秀賞受賞。
1970年代初めから80年代初めにかけて、中東・アジアをたびたび訪れる。
その折りの体験が、その後の作品制作の大きなテーマとなっている。

Return to home page