西域之華 維吾爾(ウイグル)絨毯文様考


 杉山徳太郎 著
 源流社 定価2,884円
 
ここ数年、日本でも欧米スタイルの住空間の増加にともない手織絨毯の輸入は増えている。

しかし、本当に味のあるものはわずかだ。その原因のひとつは日本語で書かれた、内容のある本がほとんど出版されていないことにあるだろう。

杉山徳太郎氏は多忙なインテリア業のかたわら、アクセスの不便な中国最西域の新彊ウイグル自治区に何度も通うフィールド・ワークを縦糸に、希少なこの分野での資料の分析・統合を横糸に、ウイグル絨毯への愛情を1目ずつむすぶようにこの本を書き上げている。

この本には筆者自身の手になる20枚にもおよぶ絨毯の版画が掲載されている。色とりどりの現物の絨毯とことなり、白と黒で表現された簡潔な絨毯文様に私たちは今まで知らなかった美しさを覚える。普通なら写真ですますような文様の紹介をこのような形で模写し、作品にまで高めた人が今までいただろうか。

現地に足繁く通い、参考書もないような現地の言葉を覚え、彫刻刀の一彫り一彫りに思いを込め、織り子たちと同じように気の遠くなりそうな繰り返し作業を通して、杉山氏は絨毯の精髄に近づいていったように感じられる。