セタリンさんが辿ってきた半生は、特殊なケースのように見えて、経済的な発展を遂げてきた日本とアジアではそれほど特異なケースではないようにも思える。セタリンさんのように、10代で初めて上京し、生活を始めた多くの田舎出身の日本人も「水玉のシマウマ」と感じながら生きてきたのだった。
だが、それにしても、カンボジア出身という運命は、日本人には計り知れない困難を、彼女に課したようだ。この本には、その困難をバイタリティとユーモアとヒューマニズムで乗り越えていくいち女性の姿が生き生きと描かれている。「日本が外国人にとって住みよい国になるということは、とりもなおさず日本が日本人にとってもっと住みよい国になることだろう」とこの本のなかで彼女は語っている。
日本が世界の中で生きていくためには、身近にいる外国人とともに生きていくことから始めなければ、と思わせる本である。