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加工ブシ末(アコニンサン錠)はその基礎薬理作用から判断して、 非ステロイド系鎮痛薬とは作用機序が異なり、非ステロイド系鎮痛薬で 治療の困難な各種の疼痛に有効であると考えられる。 さらに、麻薬性鎮痛薬モルヒネの鎮痛作用を増強することが報告 されており、疼痛性疾患のQOL(Quality of Life)に貢献する薬 剤である。 |
| 有効性が期待される疼痛性疾患 神経痛:帯状庖疹後神経痛、三叉神経痛、座骨神経痛 末梢血行障害に起因する疼痛:レイノー病、バージャー病 脳血管障害後の疼痛 ガン性疼痛 慢性関節リウマチ 各種炎症性疾患 痛風 |
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帯状疱疹後神経痛の1例---加工ブシ末(アコニンサン錠)+桂枝加朮附湯
と硬膜外ブロックとの併用
| 【報告者】 | 伊藤祐輔 富山医科薬科大学麻酔科 |
| 【症例】 | 71歳女性 主訴:帯状疱疹後神経痛 合併症:なし |
| 【既往歴】 | 30歳の時、子宮外妊娠で左付属器切除術 |
| 【家族歴】 | 特記事項なし |
| 【現病歴】 | 昭和53年10月、右肩甲骨内側下部から右乳房下にいたる疼痛出現の二、三日後に、その部に右第4・5胸神経の走行に一致して疱疹が現れた。5ヶ月間の軟膏治療により疱疹は治癒したが、疼痛は次第に固定し、痛みの程度は強まった。その部位が衣服にすれると耐え難い痛みを覚えた。消炎鎮痛剤を服用すると皮膚に発疹が出現し、悪心・嘔吐が強く現れ、これらの薬剤は服用できないアレルギー体質である。牛乳を飲むと、下痢・発疹が起きる。 |
| 【投与薬剤】 | 桂枝加朮附湯+加工ブシ末 |
| 【投与量・ 投与期間】 | 桂枝加朮附湯5.0g/日 加工ブシ末1.0/日から開始して、40日までに、5.0g/日に漸次増量。 両剤の併用を2年8ヶ月継続。 硬膜外ブロックは、第4・5胸椎間を中心に1%キシロカイン2ml、 0.25%マーカイン2mlを用いて、週2回施行。 |
| 【治療経過】 |
治療開始後10日ころ、一時的に疼痛が増強したが、20日後にはずいぶ
ん楽になったという。 40日目頃には、椅子の背にもたれても痛みは感じなくなった。 57年3月に軽い便秘を訴えるようになったので、潤腸湯を併用し、有効であった。 痛みの程度は、ペインスコアー2〜3にコントロールされ、体重は43kgに増加し、冬季でも体が暖かく、かつての底冷えするような痛みから解放され、有為な日常生活を送れるようになった。牛乳アレルギーからも脱することができた。 59年4月現在、2週間に1回の来院で、硬膜外ブロックと(桂枝加朮附湯+加工ブシ末)の処方を行いつつ、経過観察中である。 |
| 【安全性】 |
桂枝加朮附湯+加工ブシ末の投与を2年8ヶ月継続したが、貧血・肝機能障害・腎機能障害・血清電解質異常などは認められなかった。 胸部X線・心電図にも異常は認めなかった。 |
帯状疱疹後神経痛に対する神経ブロックと
[ 加工ブシ末(アコニンサン錠)+桂枝加朮附湯]との併用
| 【報告者】 | 伊藤祐輔 富山医科薬科大学麻酔科 |
| 【症例】 | 67歳男性 主訴:帯状疱疹後神経痛 |
| 【現病歴】 | 昭和53年9月、左肩甲骨下から左乳房下に帯状に一部集簇性の疱疹が出現、帯状疱疹としてA病院皮膚科に入院、治療を受けた。疱疹はほぼ2週間で治癒したが、その後焼け付くような痛みが出現して次第に増強した。 54年2月、B病院に入院して、持続硬膜外ブロックとクモ膜下フェノールブロックを受ける。以後、左下肢運動障害、神経性膀胱障害を起こしている。さらに、アルコールブロック・ハリ治療などを加え、他の4病院で治療を受けたが、効果がなかった。 55年5月に当病院で初診。左第5・6胸椎神経に沿って知覚脱失、しびれ感あり、その部に針を刺されるような痛みを訴えた。左大腿部および下腿に、筋委縮と皮膚温の低下を認めた。 |
| 【投与薬剤】 | 桂枝加朮附湯+加工ブシ末 |
| 【投与量・ 投与期間】 | 桂枝加朮附湯5.0g/日 加工ブシ末1.0/日から開始して、5.0g/日に漸次増量。 胸部硬膜外ブロックは、週1〜2回施行。 |
| 【治療経過】 | 56年8月までに、週1〜2回の胸部硬膜外ブロックを57回行った。ペインスコアーは、来院時の痛みを10とすると、現在は2〜3にコントロールされ、冬期でも体がぽかぽかして、かつての底冷えするような痛みから解放された。 |
| 【考察】 | 帯状疱疹後神経痛がなぜ老人に多いか。新陳代謝の低下、末梢循環不全など、いわゆる老化減少と関係があるとすれば、ブシの薬理作用である鎮痛作用、心拍亢進・調律調整などの強心作用、新陳代謝の振興などがその治療に結び付けられる。[桂枝加朮附湯+加工ブシ末]の投与によって、神経ブロックによる末梢循環改善を持続的に補うことができるのではないかと考える。 |
三叉神経痛に対する漢方薬(葛根加朮附湯+加工ブシ末)の使用経験
------カルバマゼピン(テグレトール)投与群との臨床効果の比較検討
【報告者】札幌医科大学口腔外科
◇漢方薬投与群
| 【対象患者群】 | 昭和59年4月から昭和61年3月までの2年間に札幌医科大学口腔外科を受診し、三叉神経痛と診断された患者34例のうち、任意の19例。 |
| 【患者背景】 | 性別・年齢別頻度および罹患枝別頻度において、三叉神経痛患者の全体像とほぼ同様の傾向。 三叉神経痛患者34例中 (性別)男性13例 女性21例 (年齢別頻度)40〜70歳代までが全体の79.4%、平均年齢56.1歳 |
| 【投与薬剤】 | 葛根加朮附湯+加工ブシ末 |
| 【投与方法】 | 葛根加朮附湯単独。疼痛の重傷なとき加工ブシ末を併用。 |
| 【投与量・ 投与期間】 | 葛根加朮附湯3〜7g、加工ブシ末0.6〜1.5gをそれぞれ1日量として、毎食後3回経口投与。期間は最低2週間〜最高7ヶ月まで。 |
◇カルバマゼピン(テグレトール)投与群
| 【対象患者群】 | 従来からカルバマゼピンを投与している17例。 |
| 【患者背景】 | 性別・年齢別頻度および罹患枝別頻度において三叉神経痛患者全体像とほぼ同様の傾向。 |
| 【投与量】 | カルバマゼピン100mg/日からはじめ、症状に応じて600mg/日まで増量。 |
◇結果
| 三叉神経痛患者に対して、 [葛根加朮附湯+加工ブシ末]はカルバマゼピンより有効率が高い。
[葛根加朮附湯+加工ブシ末]の長期投与、高齢者への投与でも
カルバマゼピンの無効例3例および副作用のため投与中止した1例に
[葛根加朮附湯+加工ブシ末]は、
[葛根加朮附湯+加工ブシ末]は、カルバマゼピンの使用不可能例や |
三叉神経痛の症例
----[神経ブロック+テグレトール+加工ブシ末]が有効であった2例
【報告者】亀山伸博 (医師)
◇症例1◇ 右第II枝三叉神経痛に罹患した症例
| 【患者背景】 | 女性(54歳)。主訴:激痛が、右顔面から上顎にかけ発作的に数秒から数分続き、発作がおさまると症状は消失する。風が吹いて顔面をなぜただけで痛みを感じることがある。 |
| 【投与薬剤】 | テグレトール200mg+加工ブシ末 |
| 【治療経過】 | 上顎神経ブロックを1日おきに7回施行し痛みは半分に減少。 また、テグレトール200mg1錠を1日3回投与すると、痛みはどうにか治まるが、1日1回に減じると痛みは再発する。 加工ブシ末1日3gを追加投与したところ、10日間でテグレトール200mg 1錠1日1回投与にて、痛みの再発は現れなかった。 患者は痛みの恐怖から概ね解放された。 |
◇症例2◇ 右第II枝三叉神経痛に罹患した症例
| 【患者背景】 | 女性(52歳)。主訴:約2年前から突然、右顔面から右耳介にかけて痛みが発現。痛みのため「うつ」な状態が続いている。テグレトール200mg1錠を1日3回投与。痛みは治まるが眠気や頭がふらふらするなどの副作用が発現し、困っていた。 |
| 【投与薬剤】 | テグレトール100mg+加工ブシ末 |
| 【治療経過】 | 加工ブシ末3g 1日1回投与により約2週間でテグレトール100mg1日半錠にて痛みをコントロールできるようになった。 |
◇考察◇
| 三叉神経痛の内服薬として、テグレトールは確かに有効である。 しかし、副作用として、多くの症例に、精神神経症状としての眠気、めまい、集中力の低下などを招き、服用しながらの日常生活に困難をきたすことがある。 また、血液においても、白血球減少、汎血球減少などもまま経験する。 今回の2例をみるかぎり加工ブシ末をテグレトールと併用することにより、テグレトールの服用量を減じることは可能である。 痛みの度合いに応じて、加工ブシ末の量を増減し、内服薬治療の主をテグレトールから加工ブシ末へ転じていくことは十分可能なことと思われる。 |