私とインターネット

中上 崇
(国際ビジネスコーディネーションセンター副会長)

 私がパソコン(マック5210)を自宅に設置したのは、1995年末である。すぐインターネットにつなげて、キーボードを恐る恐るたたいてみた。若い頃に英文タイプを使っていたが、ここ30年間は何もしていないので、パソコン操作をする気になるなんて自分自身も驚きである。

 これには訳がある。同年10月末、米国の26歳の青年が来日し、「インターネットを利用した地球規模の電子システムTRADE'exを日本市場で普及させて欲しい」との依頼を引き受けてしまったのである。インターネットとはなにかを調べ、自分でもやらない限り、インターネットを使った商取引システム、即ち今はやりのエレクトロニックコマース(EC)の話はできない。

 新年早々、私が住んでいる世田谷駒沢の交差点の喫茶店にもインターネットが入り、そこに集まっている連中5人ぐらいでインターネットの情報交換をしているうちにTRADE'exの話になり、皆で応援してくれることになった。

 この5人からインターネット仲間がネズミ算式に増え、現在では40人にもなった(2000年6月現在400人)。この仲間のことを246コミュニティーと名付けることにした。インターネットを使った新しいビジネスを考え、実行するというのが目的で、ホームページを作る人、サーバーを立ちあげる人というように数人が手を挙げ、その人達が起業家になるよう皆で応援する組織、即ち日本電子起業家協会として活動することになった。

 インターネットというのは、不思議なもので、実社会と仮想社会がこの世の中にあって、そこを行ったり来たりするような錯覚を覚えるときがある。メールを読んだり、ウエーブをしたりしていると別の電子社会があるような感じである。今では、インターネットをやっていると新しいアイデアがわき、未知の世界への期待が何か私のエネルギーになっているようだ。

 246コミュニティーという新しい友人達との交流も私にとっては「くつろぎ」の一時のような感じを持ち、TRADE'exを使った商取引システムの普及に期待しながら、これは仮想社会の仮想取引システムかもしれないと思うときもある、今日この頃である。

(日工フォーラム 96年6月号「くつろぎ」欄より転載)


 後日談 (1)

 このように、246コミュニティ結成の目標のひとつがTRADE'exの日本でのビジネスを支援することでした。この目的のもと、TRADE'exジャパンはキャラバンと共同で同じフロアにオフィスを構え、246コミュニティから有形無形の支援を享受しました。その間、約3年。マーケティングが主な仕事であったTRADE'exジャパンは、マーケティングにとどまらず実売上げも実現し、大きな成果をあげました。その結果、TRADE'exジャパンは1999年9月1日、株式会社コマースセンターと名前を変え、資本金も4億3,800万円の大きな日本法人の事業会社に育ちました。TRADE'exジャパンは、246コミュニティから巣立った外資系企業第1号です。コマースセンターのURLは、下記の通りです。
http://www.commercecenter.co.jp/


 後日談 (2)

  小尾富士夫

中上さんから「ベンチャーの社長をやりたいなら、一度外資系の社長をやって見 るのもいい経験になる」と言われその気になって始めたのがTRADE'exでした。 その時に、サポートとして246コミュニティが作られ、現在にいたっています。資本金もそこ そこ有りましたので、別にビルを借りることも出来たと思います。しかし、キャ ラバンの野口社長にお願いして一緒に引越しをしてもらい、また、 MSCの中村さ んにも来てもらいひとつのフロアーでスタートをしました。

今では、インターネットも電子商取引も当たり前のように話されていますが、本 当のスタート時点では、何が正しいかも分からない不安を抱えていました。 その様な中、246コミュニティのようなサポート部隊の存在は非常に心強いものでした。

社長をやると人脈が広がりますし、世界が変わります。しんどさも凄いです。 そんな時に仲間が居るというのは非常に助かります。

自分のプランを実現するのも、海外に自分のやりたいことが有るなら提携をする のも私は同じだと思います。まず、始めなくては話になりません。

是非、皆様も246コミュニティと出会ったのを機に何かをスタートされたら、と思います。

2000年7月25日

(小尾氏は現在、Net Business Strategistとしてエンゼル証券で活躍中)


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