素晴らしい、電子コミュニティ!


 246コミュニティは電子コミュニティです。メーリングリストやインターネット・フォーラムを通じて、24時間、世界中の仲間と会話し、知識と思考を共有し、現実の世界でも共に活動しています。(「協創、共生、貢献」が246コミュニティのモットーです。)
 246コミュニティの、ある週のメーリングリストから、電子コミュニティの素晴らしさを再確認する会話をご紹介します。

 この会話では、最初に鶴亀さんがエッセイを寄せ、それに笹島さんがコメントします。それを契機に、野口さん、門田さん、岡田さんらと発言者がつづき、笹島さんの言わんとしたことの真意が確認されます。さらに、この会話を受けて、伊藤さん、大塚さんらの発言がつづき、最初のテーマがさらに深められ、つぎのテーマへと会話が進んでいく様子がいきいきと伝わってきます。

 246コミュニティでは、このように、いろんなテーマで、活発な議論が展開されています。あなたもこの電子コミュニティに、ぜひご参加ください。

 入会をご希望の方は、目次の246コミュニティへの入会方法をご覧ください。


Vol. 1 No. 30
10/06/96
鶴亀彰

「電子コミュニティへの期待と予感」

 私の第27号通信「小さな流れ・最初の一歩」の中で日米の電子コミュニティ
の動きについて少し触れました。
 それからわずか三週間しか経っていませんが、その間に起きた活発な討論や
新しい人の出会い、そして各地への広がりのスピードに驚いています。
 シリコン・バレーや東京だけでなく、神戸に名古屋に長野県の飯田に、そし
て千葉県の船橋市や過疎地の和歌山県海草郡美里町に伝播して行っています。
 時間と空間を超越したインターネットの持つバーチャル的強さのお陰です。
 私が本格的にインターネットを始めたのは昨年3月でした。ネットサーフィ
ングで世界中のホームページやニュースグループの情報にらくらく到達出来る
のに驚き、またその広がりと深
さに驚きました。まるでモニターが魔法の画面のように思われ、その奥に広が
るバーチャルな世界の豊穣さに魅了されました。
 仕事で楽しみで日常的に情報収集や調査目的に使うようになって最初の新鮮
な驚きはいくらか薄まりましたが、それでも現在はE-mailの便利さと共に電子
コミュニティの広がりの早さとその可能性に胸を躍らせています。

 最初インターネットを始めた頃はバーチャルな世界と日々のリアルな世界とが
別々にあるように思っていました。 ところが現在では両者が統合され始めていま
す。
 ネットサーフィングで知ったホームページへのE-mailによる投書から知り合っ
たブラジルはサンパウロの人工知能研究者、そして彼の薦めで入ったメーリング・
リストで知り合ったNASAの研究者、また他のメーリング・リストで親しくなっ
た在日本や在米の人々との交流が、私の日々の仕事の上で、個人的な楽しみの上
で、極めてリアルで具体的な繋がりになっています。 その内の三人とは直接会う
機会もありました。
 バーチャルな世界で知り合い、それがリアルの世界に繋がる事で、今までの何
倍もの豊かさが得られるように感じています。

 現在インターネットやイントラネットのビジネス上の有利性が多く語られてい
ます。電子マネーやエレクトロニック・コマースが実現へのスピードを早めてい
ます。
 私も第28号通信では通信情報技術を導入し俊敏な企業組織を作っているソレク
トロン社の例をお伝えしましたし、また経営コンサルタントとしてイントラネット
による企業活性化を多くの経営者に進言しています。
 しかしイントラネットの導入には技術面や業務内容面の問題以上に経営者そし
て社員全体の意識改革が不可欠のようです。従来の工業化時代ではない情報化社
会でのパラダイム思考が大切です。オープンで平等な組織の実現です。
 果たして経営者に今まで独占して来た情報の多くを社員と共有する意志がある
のか?
 社員はその情報を活かして「スマート社員」になれるのか?
 TakeよりもGiveを優先させるリスクを本当に取れるのか?
 肩書きや年齢や性別に頼るのではなく、仕事の能力や人間性でリーダーの地位が
決まる組織を経営者や管理者が受け入れられるのか?
 企業が社会と一体化出来るビジョンを持てるのか?
 全社員が心を一緒に出来るような企業のミッションが持てるのか?
 「インターネットを導入すると社員が勤務時間に遊んでしまうのではないか?」
「従業員から直接社長宛給料値上げのメールなどが送られて来るのではないか?」
等は私が実際に経営者の口から聞いた懸念です。
 古い皮袋には新しい水は入りません。新しい技術の導入には勇気とそして忍耐が
必要のようです。

 また電子マネーやエレクトロニック・コマースにしても基本的には通貨や流通の
電子化であってお金(それが電子マネーやクレジット・カード等であっても)を媒
体とする貨幣経済である事には変わりはありません。
 農業社会では自給自足や物々交換が主で大分後になって貨幣が入って来ました。
私の母親なども戦後の食料難の時代は魚をかついで農村に行き、米や野菜と交換し
て帰って来ていた時代がありました。
 工業化・都会化の進展と共に物々交換は消え、お金を媒体としてでない限り日常
生活はおくれなくなって来ました。今日ではお金万能です。コンビニやデパートに
溢れる多くの物だけでなく、カブト虫からセックス、地位や名誉でさえお金で買え
そうです。
 まあそう言った事は農業社会・工業社会を問わず人間がいる限り昔から大なり小
なりあった事に違いありません。そして現在のインターネット・イントラネットの
動きも商業主義の面から取り上げられる事が多いように思います。

 しかし私はこの三週間、日米の電子コミュニティ(スマートバレージャパン、246
コミュニティ、シリコンバレー・マルチメディア・フォーラム、スマートバレー公社
等)の動きを見ていて新しい可能性を感じています。それは人と人との間の新しい経
済的・社会的関係です。
 上記のコミュニティは第一に個人が行動の主体です。仮に団体や組織を代表してい
る場合でもかなり個が前面に出ています。
 第二にボランティア精神、つまり積極的なギブの精神です。
 自分の能力や経験や智慧をシェアーする精神が中心になっています。特に日本にお
いては組織への従属度が強く、個ではなかなか行動しにくく、その力を発揮しづらい
状況があります。
 しかし今、電子コミュニティと言う自由で平等でバーチャルな組織にリアルな組織
に属する人々が個人の資格で参加し、共創作業を行いつつあります。産・学・官の智
慧を集め、地域活性化に取り組んでいます。私はバーチャルな組織で築かれた人間関
係がリアルな組織と統合して行く可能性を感じています。 長い時間が掛かるかも知れ
ません。しかしこの三週間の動きを見ているとそれは電子や中性子が飛び回る原子核の
動きを思わせるような活発でスピードの早いものです。案外思っているよりはかなり早
いスピードで組織中心の日本社会が個人の自由意志と創造力で活性化する事も有り得る
のではないかと期待しています。
 そして私もカリフォルニアからその動きの中に入って行こうと思っています。

 先に進んでいるシリコンバレーの電子コミュニティの動きを見ていると地域活性化の
目的でボランティアとして始められたいくつかのプロジェクトから大きなビジネスの可
能性が生まれています。 エレクトロニック・コマースなどもその一つです。近い内に
は遠隔医療なども実際のビジネスとして花咲きそうです。
 ボランティアとビジネス、社会活動と経済活動の一体化が起きつつあります。
 教育とビジネスと行政が一体化しつつあります。
 組織活動と個人活動が一体化しつつあります。
 バーチャルな世界とリアルな世界が一体化しつつあります。
 私一人の経験でも昨年3月インターネットを始めてから仕事の世界と個人の楽しみの
世界が一体化しつつあります。 多くのものを豊かに与えられつつあります。

 貨幣、つまりお金はそれが紙であろうとデジタル信号であろうと、あくまでもそれは
価値交換のための道具です。最近ではその取得自体が目的になっていますが、本当はそ
の道具を使って得られる豊かなものが目的のはずです。
 工業化社会では貨幣が価値交換を簡単にし、便利にしました。しかし弊害も生まれま
した。
 ひょっとしたら広範に広がった電子コミュニティでは貨幣(電子マネーも含めて)を
媒体としない、豊かさを直接交換する仕組みが可能になるのではとの予感がしています。
ひょっとしたら農業社会時代の物々交換が一部復活するかも知れません。
 例えば田舎の自然の中での休日と都会での書籍との交換とか。寝たきり老人がインター
ネット・ビデオを通じ離れたオフィスの警備カメラをモニターしたり、赤ん坊の姿を見
守るとか。それ以上に物ではない、人間が求める精神的な喜びや豊かさがお互いの助け
合いを通じて直接得られるかも知れません。もちろんその場合電子コミュニティの住民
達がシェアーやギブの精神を全員持っている事が前提になります。
 物も大切ですが、それ以上に人間が必要なものは精神的な満足感、心の喜びです。そ
れらの多くが現在すでに電子コミュニティの住民には相互交換されつつあります。
 バーチャルな世界で知り合い、それがリアルな世界での与え合いになっています。お
金を媒体とせず直接欲しいもの、豊かなものを得ています。それは回りくどくなく無駄
がなく広がりのある価値交換です。

 通信27号でも述べましたが、この素晴らしい可能性を実現するためには勇気が必要で
す。 行動が必要です。
 何もしない事での保身、ちょっぴりでも得したい功利性、戦後の欲望資本主義、身勝
手民主主義の矮小さを吹っとばす爆発力を電子コミュニティに期待します。
 そして変革の時代を乗り切る元気な個人、自由闊達で創造力に溢れた個人、そして思
いやりとやさしさも持った組織と社会の実現を予感します。


Date: Thu, 10 Oct 1996

こんにちは、はじめましてThe Digital Networkの笹島と申します。
鶴亀彰さんのカリフォルニア通信  Vol. 1 No. 30 に共感します。

 僕は33歳です。バブルの時代に社会に出て、仕事を覚えてきました。その頃の仕
事に対する価値観は全て損得勘定でした。仕事を取るために常にGIVE&TAK
Eの発想でした。又、それが正しいとされていたきがします。そしてその方法論は
ビジネス上のパワーバトルでした。
その結果、何が残ったのか?そんな仕事でいいのか?と疑問をもち、考えました。
 ”パワーバトルのGIVE&TAKE”これは自分が疲れます、楽しくなりませ
ん、そして続きません。自分が疲れれてしまって、自分が成功するでしょうか、力
が出るでしょうか?さらには家庭、仲間、社会がうまくいくでしょうか?そんな事
を思いました。
 ここ1年位考えているのは、
人間は人の役に立つ事をする時に力が出る。自分が嬉しいし、疲れない。そんな、
価値観で仕事が出来たらと。人に喜びを与え続けていく、”GIVE&GIVE”
の精神です。
 もちろん、自分がうまくいってなくては人にはGIVEできない。まず、自分が
成功し、周りにたいして、”GIVE&GIVE”し、自分一人でなく、自分の関
わりのある人間が成功し、さらには、社会全体を良く出来ればと。
 こんな事を考えています。

 しかし、理想だけでは生きていけません。現実化しなくてはいけません。今、出
来ることは何か?
 ”GIVE&GIVE”の精神で、小さな力を結集し、個々のスペシャリティを
生かし、それを仲間でシェアーしてコラボレーションを起こしたいと考えてます。
”電子コミュニティ”良い言葉ですね。

 だらだらと脈絡の無い文章になりましたが、以上が今、自分が思っている考え方
です。
 鶴亀さんの文章を拝見し、”まさにこれだ!”と感銘を受けました。


Date: Thu, 10 Oct 1996

野口です。
笹島さんの上記メールにコメントします。

笹島さんの結論には賛成なのですが、Give & TakeやTake & Takeを否定してGive &
Giveでなければ、という論法にはちょっと「?」を感じたので、本筋からはずれます
が、一言。

笹島さんは「パワーバトルのGive & Take」には疲れる、とおっしゃっているので、
Give & Take一般を否定されてはいないのかもしれませんが、私がインターネットの世
界、特にUNIXの文化にふれてもっとも感動したのは、「Give & Take」「Take &
Give」が金銭を対価とせず、ごく自然に行われていたことです。パソコン通信のフリ
ーソフトの世界も同じようなものですが、UNIXの開発者たちがインターネットを拡大
しつつ作り出した電子コミュニティは、246コミュニティが掲げている「協創、共生
、貢献」を実現していると思います。

電子コミュニティにも「Take & Take」だけの人がいますが、そのような人でもいつ
かはGiveしようと思っています。(最近急拡大によって住民意識も少し変わってきた
ようですが……)
私もパソコン通信のフォーラムで長いことROMしていましたが、いつかはお返しをし
たいと思い続けていました。いま、246コミュニティの事務局をかってでているのも、
これまで、「Take & Take」をしてきたので、そのお返しのつもりもありました。と
ころが、自分なりに貢献することによって、いままで以上に人の輪や仕事の輪が広がり、
自分に返ってくるものはさらに大きくなりました。「Take & Give & Take」です。

246コミュニティでは、Giveできる人はGiveする、Takeできる人はTakeする、でいい
と思います。同一人物がGiveしたりTakeしたりすることもあるでしょう。Takeする人
がいなければ、Giveすることはできません。シェアの概念が大切だと思います。

笹島さんの言う、「小さな力を結集し、個々のスペシャリティを生かし、それを仲間
でシェアーしてコラボレーションを起こしたい」という結論に完全に賛成なので、中
間論法にたいして若干の理屈をこねました。お許し下さい。


Date: Thu, 10 Oct 1996

門田です

野口さん、
私は笹島さんの考えに近いです。

例えばこのメール、誰にGiveしたつもりか本人には自覚がありません。
Force社→PCIバス→例えば日本だとForksさん、と連想し、このMLにも
利害関係を持つ人がいるかもしれないと勝手に思い込んでいるだけです。

皆さんの議論にはあまり噛み合いませんが、
恒産あっての恒心、恒心あってのGiveでしょうね、私の場合。
NECという体制枠内でノホホンと安住できてこそ、です。

私の様なナマクラ者は、生活苦にあればGiveする暇はないのでしょう。
幸いにしてそのような意識をもたずにこの何年間か過ごしてきました。
ですから、この理屈もうら付けがありません。
おまけに火事場にあれば何するか分からないですしね。


Date: Thu, 10 Oct 1996

おかだ@Digital Networkです。
笹島さんのメールと野口さんのコメントを見て、さらにコメントします。
笹島さんと野口さんの言っているGive&Takeの捉えかたにずれが
あるかなぁーという気がしました。
私もjunetの頃からこの世界にはいましたので、野口さんのおっしゃる
Give&takeの精神は良く分かります。また、そうあるべきだと思います。
笹島さんが言っているGive&Takeの意味合いは、見返りを期待して
与えるということで、この事を社会人になってからいやというほど体験して
疲れてしまったということだと思います。笹島さんは、今わたしといっしょに
活動してますので、その辺のところはなんとなくニュアンスがわかります。
笹島さんもインターネットの世界、コミュニケーションを知ったのが
今年の5月、まだ半年も経ってません。このすばらしい電子コミュニティ
の存在を知った事で、これだと思ったに違いありません。
Give&Giveの意味合いもGiveを強要する事ではなく、
お互いがGiveする事によって、結局いい意味でのtakeが生まれる
というような事だとおもいます。

このすばらしいコミュニティをどんどん拡大していくべく
頑張って、いけたらと思います。


Date: Thu, 10 Oct 1996

野口です。

笹島さんのメールに触発されて一言言ったおかげで、門田さんと岡田さんの意見が聞
けました。

確かに、笹島さんは、
「”GIVE&GIVE”の精神で、小さな力を結集し、個々のスペシャリティを生
かし、それを仲間でシェアーしてコラボレーションを起こしたいと考えてます。”電
子コミュニティ”良い言葉ですね。」
とおっしゃっているのだから、私の懸念は杞憂でした。
かえって、「本来のGive & Take」なんて言うより、「Give &
Giveの精神」と言った方が説得力があるのかも知れませんね。

P.S.
笹島さんの2度目(Thu, 10 Oct 1996
17:18:39発)のメールは、文字化けして読めませんでした。僕だけの現象でしょうか
。もう一度送っていただけると幸いです。


Date: Fri, 11 Oct 1996

再送いたします

----------
笹島です。
フィードバックありがとうございます。
又、色々と自分自身にたいしての気づきがありました。感謝いたします。

 ちょっと理屈っぽくなったかもしれませんが、人にこの考え方を押し付けるつも
りでなく、自分の考え方を外に出すことによって、野口さんのようなフィードバッ
クを頂いて、新しい自分に対する気づきが有ればばと思いコメントさせて頂きまし
た。
 これからも色々とコメントさせていただきたく思います。そして、又、フィード
バックを頂きたいと考えます。自分自身に対し、新しい発見をし、自分の意識が高
かめていきたいとおもいます。又、少し理想論のようになってしまいましたが、電
子上でのこんな形での意識のコラボレーションが出来ればうれしいです。

 私は、インターネットを初めて半年です。わからないことだらけですので、色々
と教えてください。これからもよろしくお願いします。


Date: Fri, 11 Oct 1996

日本シグナスサポートの伊藤です。
ずっとROMばかりしていて申し訳なかったのですが、笹島さんや野口さん、それに門
田さんや岡田さんの討論に触発されてUpします。

資本主義社会バブル経済に踊らされたGive and Takeは疲れると言われた笹島さんの
お気持ちよくわかります。しかし、だからGive and Giveがいいかというとそうもい
かないようにこの世の中はなっていると思います。共存共栄の道を踏みはずさないと
ころに生々発展の道があるように世の中はできていると思います。
たとえば商店にしても赤字で持ち出しの安売りばかりしていたのでは財力はいつまで
も続きません。そうかといって度を超した金儲け主義でもこの世の中はうまくいかな
いようになっています。

よく、会社の中にはシェアを拡大せよとか、トップシェアを取ることを目標にせよと
か、売り上げを倍増せよとかいっている会社があるようですし、利益至上主義の会社
もあるようです。これなど大変おかしな話で、本来シェアとか利益というものは自ら
の活動の結果、天から戴く通信簿みたいなもので、それを目標にするなど本末転倒と
思います。

で、第一、そう言うスローガンを掲げた会社で仕事をすることは甚だ面白くありませ
ん。売り上げ倍増の話を載せた社内新聞というものがあったとしてもちっとも共感を
呼ばないのであります。やっぱり何か共存共栄の中心からずれているのではないかと
感じるからです。社内向けのスローガンでも、堂々と社外に向けて発信できるスロー
ガンであれば、これは強いと思います。

野茂が大リーガーになったとき野球を楽しむんだ、ファンに野球を楽しんでもらいた
いんだ、といい、それを目標にして自らのトレーニングを積む。同じトレーニングで
も金儲けのためにトレーニングを積むより、この方がよっぽど共感が持てると思うの
であります。彼は中(自分)に向かっても外に向かっても同じ事をいっている。
会社の中には中向きの話と外向きの話とを区別しているところが実は五万とあるよう
でして、ミドリ十字や厚生省などはその典型でしょうね。中向きの話と外向きの話が
一致しているとき、きっと仕事も面白くなるものだろうと思います。

世の中に貢献し役に立った結果として利益がついて回ってくる。そう言う風に世の中
はできていると思います。役に立たないものにお金がついて回るわけがないので、金
儲け主義を前面に出す人ほど役に立たねばならないことを、忘れてしまうようです。
おかしな事がこの経済界の中には堂々とまかり通っていたようですが、それが、リク
ルートスキャンダル、ゼネコンスキャンダルとか、金融証券スキャンダルとか、バブ
ル踊り、住専、官々接待、空出張、薬害問題、などなどに見られるように、これから
はどんどんと見直されてていく時代になってきていると私は大いに楽観しています。
物質文明時代から抜け出して、精神文明の時代に入りつつあると感じています。ネッ
トワークはまさにその典型の一つではないかと感じているのですが皆さん如何でしょう。


Date: Sat, 12 Oct 1996

大塚です。

笹島さん、野口さん、門田さん、岡田さん、中川さん・・・・・・・。
10日から11日にけての皆さんの興味深いご意見の数々、つくづく感じ入りま
した。今ひしひしとこういった発言を聞ける立場にある自分を幸せに思います。
と同時に7年前、バンコックに赴いた時の事を思い出してしまいました。長く
なって恐縮なのですが、私も’熱’にうなされて思い付くままに書いてみます。

所用でタイに行くことになった私は、ほんの1日だけ休暇がとれたので、ま
だ薄暗い早朝からいそいそと身支度を整え、ホテルから程ないダウンタウン
を徘徊してみました。朝の日の光の中で香のかおりが漂うなんとも気持ちの
良い雰囲気でした。おそらくバンコックの一般生活水準からしても、そこは極
めて貧しい状況にあるエリアだったろうと思います。通りを歩いていると、その
街の住人達のもとへオレンジ色の衣装を纏った近くの寺院の僧達が御布施
を戴きにやってくる光景に何度となく遭遇しました。聞けば何と、お世辞にも
裕福とは言えない彼ら住人達は、昨日1日で手に入れた食べ物や品々の中
で最も上質なものを、その僧達に捧げるのが習慣というではありませんか!
嬉しそうに手を合わせて双方が祈りをささげるその姿は、私にとって近来、希
に見る輝かしい光景でした。人間が豊かであるとは、本来何を以ってして計
れるものなのか?・・・・改めてそう考え直さざるを得ない、まさに衝撃と至福
の瞬間でした・・・・。

ダウンタウンから戻って、今度はオリエンタルホテルから出港するアユタヤ行
きのクル−ズに乗り込みました。船内は非常に和やかでリッチな雰囲気に溢
れていました。私の他にも日本人がいて、私を見かけるとにこやかに話し掛け
てこられました。日系ゴム会社のタイ現地法人へ出張しがてら、ゴルフと観光
を兼ねてこられたという重役の方々でした。そして彼らにはタイ人で、日本語
が驚く程堪能な通訳の女性が付き添っていました。重役の一人は、効率性の
高い生産工場を広大な敷地と安い人件費で実現出来ることや現地の駐在員
が日本では想像もできない位ゴ−ジャスな生活をしている事、夜の遊びに事
欠かない等を、矢継ぎ早に私に語ってくれました。
「日本の企業はこのタイという国の産業構造や国民の生活常識自体を、根底
からひっくり返すほどの力をもっています。彼らを徹底的に再教育さえすれば、
ファクトリ−の一員としても十分通用します。日本国内では到底不可能であっ
た生産性と利益を、この国では実現できるのですよ。日本はこの国のこの環
境を大いに利用すべきです。」彼は語彙を強めて私に力説しました。

彼の横にいた通訳のタイ人の女性は、話の途中から重役の傍らを逃れるよう
に立ち去っていきました。そして船のデッキの片隅で、じっと遠くを見つめてい
ました。「まだ一度も日本にいったことがないのでぜひとも行ってみたい・・・・ 」
私が横に行くと彼女はそういいました。私は胸が詰まる思いで「失礼なことば
かりお聞かせしてしまって本当にすいません。でも全ての日本人があのよう
に考えているのでは決してないのです。」そう言わずにはいられませんでした。
「ええ、判っています・・・よく判っています。」彼女の視線の先にはチャオプラ イ
ヤ川の川の水で洗濯をする子供達や丹念に髪を洗う女性達の姿がありました。
船内の白人の一人が手にした小さな袋包みを、川で遊ぶ子供達に投げ渡すと、
我先争ってその袋を群がりました。運良く手にした男の子が満面の笑顔でこち
らの船の方に手を振ると、その白人は嬉しそうに手をふりかえしていました・・・ ・。

中川さんがおっしゃる通り2000年には何と61億もの人間がこの地球という惑星
にひしめき合うのです。にもかかわらずネットワ−クを通して新しいコラボレ−シ
ョンや’GIVE&GIVE’の世界(例えば246cのような恵まれた環境)の 、恩恵
を受けられる人間の数は、一体そのうちの何%でしょうか?ニュ−ヨ−クに住む
私の友人の黒人ミュ−ジシャンは、インタ−ネットのことを知り是非ともそれを
使って彼のサ−クルが作る音楽を世界に発信したいと願いました。しかし日々
の貧しい生活が故にわずかの資金さえなく、勿論PCやネットワ−クの技術的
サポ−トも受ける事が出来ませんでした。彼自身、パソコンというものに触った
がなかったのです。あのニュ−ヨ−クでさえ、こういった現状が存在しています。

このメ−ルを送ろうとしている私や、それを受け取ってご覧くださる電子コミュニ
テ ィに関われている方々は本当に恵まれた環境にあると考えます。ですからあえて
’GIVE&GIVE’を理想としてだけではなく、具現化させるために行動した
いとお っしゃる笹島さんに深い共感を覚えます。そしてまた、246cがそういったこと
の 最先端に位置している組織の1つだと私は思っています。意義深いお話を皆さん
ありがとうございました。


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